THE VOC@LOiD M@STER19お疲れさまでした!
THE VOC@LOiD M@STER19
に参加します!!
F90のブースにいますので、宜しかったら遊びに来て下さい☆
今回は新刊は用意出来なかったのですが、トートバッグを新デザインで頒布予定です
今日は東京でライブがあるので、ひと足早く東京入りします〜
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今回は新刊は用意出来なかったのですが、トートバッグを新デザインで頒布予定です
今日は東京でライブがあるので、ひと足早く東京入りします〜
C81お疲れさまでした!
C81 頒布内容告知です!
新刊・途中経過
新刊の中身の一部を公開するので、宜しかったら読んでいって下さいw
感想等も頂けると幸いですw
Over the Dimensions 2
絵:hassy
文:抹茶
【登場人物とその設定】
《ブラックロックシューター》
異次元世界に住む、蒼い炎を瞳に宿す少女。ロックキャノンを武器とし、蒼い炎の力を溜めることで間移動も可能。
《黒衣マト》
明るく活発な女子バスケ部エース。不思議な夢を見た後に、ブラックロックシューター達の住む異次元世界へアクセス出来る力に目覚める。
《デッドマスター》
濃緑の瞳をした美しき死神。人間世界と自らが君臨する異次元世界の統一と征服を目論むが、ブラックロックシューターとマトとの戦いに破れ、異次元世界の狭間に追放されてしまった。デッドサイズと呼ばれる巨大な鎌を武器として使用している。
《小鳥遊ヨミ》
大人びた雰囲気を持つ美少女でマトのクラスメイト。デッドマスターに取り込まれてしまうが、マトとブラックロックシューターに救われた。
《ユウ》
小柄で幼い印象の少女。その容姿とは裏腹に女子バスケ部マネージャーとして部活では的確な指示を出す。マトとヨミの良き理解者。
《ストレングス》
両腕が外骨格構造の機械の腕を持つ、異次元世界で暮らす謎の少女。異次元世界間を繋ぐ能力を持つ。
《ブラックゴールドソー》
かつてブラックロックシューターを倒した深紅の瞳の死神。容姿端麗であるが強大な力を持ち、キングソーという大刀を携えている。異次元世界にある絶海の孤島に建てられた城の城主でもある。
【前刊のあらすじ】
元気印の中学生、黒衣マトはひょんな事から迷い込んでしまった異次元世界で緑の瞳をした死神・デッドマスターに襲われる。絶体絶命の中、突如現れたのはブラックロックシューターと名乗る蒼い炎を纏った不思議な少女であった。ブラックロックシューターに助けられ現実世界へと帰還したマトであったが、デッドマスターの正体が親友の小鳥遊ヨミを取り込んだものだったと知り、ヨミを取り戻すべく再び異次元世界に行く事を決意。死闘の末、ブラックロックシューターと共にデッドマスターを倒しヨミを救ったマトであったが、その代償として彼女はデッドマスター共々異次元世界の狭間を彷徨うことになってしまった。今度はマトを救うべく、ブラックロックシューターは異次元世界の狭間へと旅立った。彼女は次元の狭間を繋ぐ力を持った、ストレングスという機械の腕を持つ少女の力を借りることでマトを現実世界へと連れ戻した。ようやく再会を果たしたマトとヨミであったが……。
何とか現実世界に帰ってきたマトとヨミであったが、寧ろ、帰ってきた後の方が大変だった。
短期間とはいえ、二人が失踪したことはまさに『大事件』。地元の警察までもが動いたために、無事戻ってきからと言って全てが丸く収まる訳もなく、警察署での事情聴取に始まり、家族への事情説明、さらには病院での身体精密検査と、かつての平和な日常はそう簡単に帰って来ない。中でも、『失踪期間中、何処で何をしていたのか?』と言う質問に二人は最も困惑した。誰が、異次元世界で蒼き炎の少女と共に死神を倒してきたなどと言う御伽話を信じてくれよう。それは家族とて例外ではない。
その苦境を脱する手助けをしたのは、第一発見者として二人と共に証言をしたユウだった。
「自分を見失っていたヨミを、マトが探し出して、そして二人で無事に帰ってきた」
「今は、そっとしてあげた方良いと思います」
この簡単な二言が地味に効力を発揮した。また、マトとヨミが被害届を出さないと言ったこともあり、この『大事件』は、結局のところ、ヨミとマトの連続家出事件ということで処理され、時間の経過とともに事件は沈静化していった。
真実は闇の中、もとい異次元世界の狭間の中なのだ。
マトは夜になると、自室の窓を開けて空を見上げた。そして、無数の星たちの輝く夜空を眺め、そのどこかにいるかもしれないあの蒼い炎の少女の事を想った。
ありがとう、ブラックロックシューター。
私の声、聞こえますか?
マトには笑顔で振り向くブラックロックシューターの姿が、夜空の遙か彼方に見えた気がした。
どんっ!
「許さぬ、許さぬぞ! ブラックロックシューターも、あの小娘も!」
怒りの衝動に駆られたデッドマスターが、拳で壁を叩く。
「あまり興奮なさらないで。折角の美しい御顔が歪んでましてよ? デッドマスターさん」
「貴様に私の気持ちが分かるものか!」
嫌味を言われ、デッドマスターはさらに声を荒げた。
「あら、助けてもらっておいてその物言いはどうかしらね。それとも、もう一度あの闇の向こうへ行く気なのかしら?」
「くっ……」
絶海の孤島に建てられた、何人の侵入も拒むようにそびえ立つ堅固な城塞。
その内部で木霊したのは、デッドマスターの怒号。それと怒号を鎮める静かな、しかし威圧的な声であった。
そしてその声の主はこの城の主でもある、ブラックゴールドソー。
彼女は異次元世界に君臨するもう一人の死神である。そして、あのブラックロックシューターを破った唯一の死神。
勝者と敗者という立場の差。
異次元世界に君臨する同じ死神であるはずの二人に、あってはならない差がある。
デッドマスターにとってそれが最も許しがたいのは言うまでも無い。
どんっ!
決して下がる事のないはずの溜飲を無理やり飲み下す為に、デッドマスター再び壁を叩いた。
デッドマスターは、今にも崩れそうな自我を何とか立て直しながら紅い瞳をした死神に尋ねた。
「何故、私を助けたのだ……?」
「何故って? 理由なんて無いわ」
解せないといった表情を浮かべるデッドマスターに対して、さらりとした綺麗な長髪を靡かせながら、紅い瞳の死神はこう続けた。
「ただ、人間なんかに良いようにされるのが嫌だっただけよ。それにアンタを助けたのは私じゃないわ」
「どういうことだ?」
デッドマスターは再度問いかけた。
「ストレングス、こちらへ来なさい」
「はぁ〜い」
余裕のないデッドマスターの声とは対照的な、やや間の抜けた高い声が部屋の奥から聞こえた。そして姿を現した、オーグアームを持つ少女。
「貴様は……」
「はじめまして、デッドマスター。私はストレングス。もうすっかり元気みたいだね!」
「ストレングスとやら……今の嫌味は大目に見てやる。勘違いするなよ? 私は助けを懇願した覚えはない」
「ちょ、ちょっと怒らないでよぉ。そんなつもりじゃないってばぁ」
「フン。いちいち気に触る奴だな」
どうしたらいいの? とストレングスは困惑の表情をブラックゴールドソーに向けた。
「気にする必要はないわ。いずれそんな大口は叩けなくなるのだから。それにストレングスが言うには、人間の娘の方は既に現実世界で元気に暮らしているらしいじゃない? 同じタイミングで異次元を彷徨ったはずなのに、随分な違いね?」
そう言って紅い瞳が軽く笑うと、緑の瞳は再び憤りの色を濃くした。
「も、もうやめようよぉ。二人とも怖いよ?」
余りの緊迫感に耐えられなくなったストレングスが今にも泣き出しそうな声で言った。
「あら、貴方のそんな顔も可愛いわ、ストレングス。まだまだその顔を見ていたいのだけれどこれ以上デッドマスターさんをいじめても仕方ないから、そろそろ本題に入ろうかしらね?」
キッと睨むデッドマスターを尻目に、ストレングスの意向を汲んだブラックゴールドソーは持っていた己が武器である大刀の刃を指でなぞりながら二人に告げた。
「知っての通り、私は我が城の一室でブラックロックシューターと戦った。そして確かにこの『キングソー』でブラックロックシューターを貫き、次元の狭間の海に葬り去った。だが……」
「奴は生き延びた」
デッドマスターが先んじて結論を言いつつ、質問を投げかける。
「では何故、奴は生き残ったのだ?」
「分からない。ただ、私は貴方がかつて捕り逃がしたマトという女が関係あると見ている」
「あの小娘が?」
「そう。貴方は感じなかったか? 人間と融合した時に得ることの出来る大きな力を」
「ああ……それは……確かに」
デッドマスターはヨミを取り込んだ時の感覚を思い出しながら答えた。
「これは私の推測だけど」
ブラックゴールドソーは近くにある椅子の片方に腰かけ、もう片方をデッドマスターに差し出し、一呼吸おいてから続けた。
「それは奴とて同じであった。私との闘いに破れ、異次元間の海を瀕死の状態で彷徨っていた時に偶然、何らかの形であの女に出会ったのだろう」
「しかし、あの女とブラックロックシューターは別々に存在していたぞ?」
「融合する事で確かに力を回復し傷を癒やした。恐らく奴は後に自ら乖離を起こして、人間を元の世界へ帰したんだわ。小娘の異次元世界での記憶を消した上でね」
「馬鹿な! みすみす力を失ったと言うのか?」
「人間に『助けられ』て情でも移ったんじゃないかしら? 最も、この世界でそのような愚行を犯すのは奴くらいのものよ」
「だからブラックロックシューターはあの女を、引いては人間を守ろうとするのか……フンッ、下らぬ!」
デッドマスターが吐き捨てるように叫んだ。
「だかこそ、付け入る隙があるの」
赤い瞳が不敵な笑みを浮かべた。
「そのあとで、マトと言う小娘がこの世界に迷い込んだのも、ブラックロックシューターがその女を助けに来たのも、決して偶然ではないと思うわ。一度融合してしまった奴らは引きつけ合う存在になったのよ。それに」
「それに?」
「ブラックロックシューターの奴、今度は小娘の記憶を消してないみたいね」
「どうしてそのような事が分かる?」
「そうよね、ストレングス?」
「……うん、そうだよ。二人は未だ心で通じ合ってる。世界を超えて」
ストレングスが俯きながら答えた。
「だとしら、どうして隙があるのだ?」
意外と理解の遅かったデッドマスターにやや呆れながら、ブラックゴールドソーは答えた。
「貴方も鈍いわねえ。あの小娘が現れれば、そこに憎き蒼い炎も必ず現れるってことよ」
デッドマスターの顔色が、変わっていく。
「そう。小娘をおとりにしてブラックロックシューターをおびき出し」
「そこを討ち取る!」
身を乗り出しながらデッドマスターが語気を強めて言った。
「勿論、小娘ごとね。そしてマトという女はごく近い将来、この世界に再び現れるわ」
「根拠があるのか?」
「そうよね、ストレングス?」
先ほどと同じ調子でブラックゴールドソーはストレングスに振った。
少し間が空いて、
「え、あ、うん……」
ストレングスが少し慌てながら返事をした。
あまりの間の悪さに懐疑の眼差しで緑の瞳は、外骨格で構成された機械の腕の少女を見つめた。
「もう、ちゃんと自信を持って答えて頂戴。デッドマスターさんが疑うでしょ?」
「ごめん。ブラックゴールドソーの言う通り、マトはまた必ずこっちに来るよ」
ストレングスは深く暗い異次元の海を、部屋の窓から眺めながら言った。
ごめんね、マト……
そして……
「今日もナイスシュート決まったね。マトの活躍で今日も大勝利だよ!」
試合終了直後、ユウが駆け寄りながら女子バスケ部のエースの活躍を称えた。
「いやー、照れちゃうなあ。ユウの出してくれた的確なアドバイスのおかげだよ」
マトは、優秀なマネージャーの助言に対して感謝の言葉を口にした。
今日はマト達の通う中学校の体育館で、近隣の中学校との対抗試合が開催された。マト達のチームは見事快勝。マトはチームの得点の半分を挙げ、まさにエースとして勝利の立役者となった。
マトが試合会場であった体育館のアリーナで勝利の余韻に浸っていると、一階の応援席方から声がした
「マト〜! おめでとう! とても素敵だったわ」
大人びた雰囲気の美少女が、エースに向かって声をかけた。今日の試合にはヨミも応援に駆けつけていたのだ。
「ヨミ! 応援しに来てくれてたの?」
エースは汗を拭いながら、上の席にいるヨミの声援に答えた。
「ええ。大差が付いた後半は安心して観ていられたわ」
「えへへ。練習頑張ったし。あ、もう帰るからヨミも一緒に帰ろ? ちょっと待ってて。すぐ着替えてくるから」
「ゆっくりで良いわよ? 入口の所で待っているから」
「うん!」
試合後の疲れを感じさせない飛び切りの笑顔で返事をしたマトは、試合会場を出て即座に更衣室へと向かった。
マトとヨミ、ユウの三人は今日の試合を振り返りつつ、最近のドラマや流行りのアイドルの話をしながら家路に着いた。終止、笑顔が絶えない会話であったが何処となく浮かない表情をしているユウに、マトとヨミは気付かなかった。
「また明日ね、バイバイ」
帰る途中の交差点で、ヨミは右へ、マトとユウは左へ曲がった。それから少し歩いたところで不意にユウがマトに話しかけた。
「ねえ、マト」
「何?」
本日はココまでですが、続きも近々うpする……かも?(どっち
感想等も頂けると幸いですw
Over the Dimensions 2
絵:hassy
文:抹茶
【登場人物とその設定】
《ブラックロックシューター》
異次元世界に住む、蒼い炎を瞳に宿す少女。ロックキャノンを武器とし、蒼い炎の力を溜めることで間移動も可能。
《黒衣マト》
明るく活発な女子バスケ部エース。不思議な夢を見た後に、ブラックロックシューター達の住む異次元世界へアクセス出来る力に目覚める。
《デッドマスター》
濃緑の瞳をした美しき死神。人間世界と自らが君臨する異次元世界の統一と征服を目論むが、ブラックロックシューターとマトとの戦いに破れ、異次元世界の狭間に追放されてしまった。デッドサイズと呼ばれる巨大な鎌を武器として使用している。
《小鳥遊ヨミ》
大人びた雰囲気を持つ美少女でマトのクラスメイト。デッドマスターに取り込まれてしまうが、マトとブラックロックシューターに救われた。
《ユウ》
小柄で幼い印象の少女。その容姿とは裏腹に女子バスケ部マネージャーとして部活では的確な指示を出す。マトとヨミの良き理解者。
《ストレングス》
両腕が外骨格構造の機械の腕を持つ、異次元世界で暮らす謎の少女。異次元世界間を繋ぐ能力を持つ。
《ブラックゴールドソー》
かつてブラックロックシューターを倒した深紅の瞳の死神。容姿端麗であるが強大な力を持ち、キングソーという大刀を携えている。異次元世界にある絶海の孤島に建てられた城の城主でもある。
【前刊のあらすじ】
元気印の中学生、黒衣マトはひょんな事から迷い込んでしまった異次元世界で緑の瞳をした死神・デッドマスターに襲われる。絶体絶命の中、突如現れたのはブラックロックシューターと名乗る蒼い炎を纏った不思議な少女であった。ブラックロックシューターに助けられ現実世界へと帰還したマトであったが、デッドマスターの正体が親友の小鳥遊ヨミを取り込んだものだったと知り、ヨミを取り戻すべく再び異次元世界に行く事を決意。死闘の末、ブラックロックシューターと共にデッドマスターを倒しヨミを救ったマトであったが、その代償として彼女はデッドマスター共々異次元世界の狭間を彷徨うことになってしまった。今度はマトを救うべく、ブラックロックシューターは異次元世界の狭間へと旅立った。彼女は次元の狭間を繋ぐ力を持った、ストレングスという機械の腕を持つ少女の力を借りることでマトを現実世界へと連れ戻した。ようやく再会を果たしたマトとヨミであったが……。
何とか現実世界に帰ってきたマトとヨミであったが、寧ろ、帰ってきた後の方が大変だった。
短期間とはいえ、二人が失踪したことはまさに『大事件』。地元の警察までもが動いたために、無事戻ってきからと言って全てが丸く収まる訳もなく、警察署での事情聴取に始まり、家族への事情説明、さらには病院での身体精密検査と、かつての平和な日常はそう簡単に帰って来ない。中でも、『失踪期間中、何処で何をしていたのか?』と言う質問に二人は最も困惑した。誰が、異次元世界で蒼き炎の少女と共に死神を倒してきたなどと言う御伽話を信じてくれよう。それは家族とて例外ではない。
その苦境を脱する手助けをしたのは、第一発見者として二人と共に証言をしたユウだった。
「自分を見失っていたヨミを、マトが探し出して、そして二人で無事に帰ってきた」
「今は、そっとしてあげた方良いと思います」
この簡単な二言が地味に効力を発揮した。また、マトとヨミが被害届を出さないと言ったこともあり、この『大事件』は、結局のところ、ヨミとマトの連続家出事件ということで処理され、時間の経過とともに事件は沈静化していった。
真実は闇の中、もとい異次元世界の狭間の中なのだ。
マトは夜になると、自室の窓を開けて空を見上げた。そして、無数の星たちの輝く夜空を眺め、そのどこかにいるかもしれないあの蒼い炎の少女の事を想った。
ありがとう、ブラックロックシューター。
私の声、聞こえますか?
マトには笑顔で振り向くブラックロックシューターの姿が、夜空の遙か彼方に見えた気がした。
どんっ!
「許さぬ、許さぬぞ! ブラックロックシューターも、あの小娘も!」
怒りの衝動に駆られたデッドマスターが、拳で壁を叩く。
「あまり興奮なさらないで。折角の美しい御顔が歪んでましてよ? デッドマスターさん」
「貴様に私の気持ちが分かるものか!」
嫌味を言われ、デッドマスターはさらに声を荒げた。
「あら、助けてもらっておいてその物言いはどうかしらね。それとも、もう一度あの闇の向こうへ行く気なのかしら?」
「くっ……」
絶海の孤島に建てられた、何人の侵入も拒むようにそびえ立つ堅固な城塞。
その内部で木霊したのは、デッドマスターの怒号。それと怒号を鎮める静かな、しかし威圧的な声であった。
そしてその声の主はこの城の主でもある、ブラックゴールドソー。
彼女は異次元世界に君臨するもう一人の死神である。そして、あのブラックロックシューターを破った唯一の死神。
勝者と敗者という立場の差。
異次元世界に君臨する同じ死神であるはずの二人に、あってはならない差がある。
デッドマスターにとってそれが最も許しがたいのは言うまでも無い。
どんっ!
決して下がる事のないはずの溜飲を無理やり飲み下す為に、デッドマスター再び壁を叩いた。
デッドマスターは、今にも崩れそうな自我を何とか立て直しながら紅い瞳をした死神に尋ねた。
「何故、私を助けたのだ……?」
「何故って? 理由なんて無いわ」
解せないといった表情を浮かべるデッドマスターに対して、さらりとした綺麗な長髪を靡かせながら、紅い瞳の死神はこう続けた。
「ただ、人間なんかに良いようにされるのが嫌だっただけよ。それにアンタを助けたのは私じゃないわ」
「どういうことだ?」
デッドマスターは再度問いかけた。
「ストレングス、こちらへ来なさい」
「はぁ〜い」
余裕のないデッドマスターの声とは対照的な、やや間の抜けた高い声が部屋の奥から聞こえた。そして姿を現した、オーグアームを持つ少女。
「貴様は……」
「はじめまして、デッドマスター。私はストレングス。もうすっかり元気みたいだね!」
「ストレングスとやら……今の嫌味は大目に見てやる。勘違いするなよ? 私は助けを懇願した覚えはない」
「ちょ、ちょっと怒らないでよぉ。そんなつもりじゃないってばぁ」
「フン。いちいち気に触る奴だな」
どうしたらいいの? とストレングスは困惑の表情をブラックゴールドソーに向けた。
「気にする必要はないわ。いずれそんな大口は叩けなくなるのだから。それにストレングスが言うには、人間の娘の方は既に現実世界で元気に暮らしているらしいじゃない? 同じタイミングで異次元を彷徨ったはずなのに、随分な違いね?」
そう言って紅い瞳が軽く笑うと、緑の瞳は再び憤りの色を濃くした。
「も、もうやめようよぉ。二人とも怖いよ?」
余りの緊迫感に耐えられなくなったストレングスが今にも泣き出しそうな声で言った。
「あら、貴方のそんな顔も可愛いわ、ストレングス。まだまだその顔を見ていたいのだけれどこれ以上デッドマスターさんをいじめても仕方ないから、そろそろ本題に入ろうかしらね?」
キッと睨むデッドマスターを尻目に、ストレングスの意向を汲んだブラックゴールドソーは持っていた己が武器である大刀の刃を指でなぞりながら二人に告げた。
「知っての通り、私は我が城の一室でブラックロックシューターと戦った。そして確かにこの『キングソー』でブラックロックシューターを貫き、次元の狭間の海に葬り去った。だが……」
「奴は生き延びた」
デッドマスターが先んじて結論を言いつつ、質問を投げかける。
「では何故、奴は生き残ったのだ?」
「分からない。ただ、私は貴方がかつて捕り逃がしたマトという女が関係あると見ている」
「あの小娘が?」
「そう。貴方は感じなかったか? 人間と融合した時に得ることの出来る大きな力を」
「ああ……それは……確かに」
デッドマスターはヨミを取り込んだ時の感覚を思い出しながら答えた。
「これは私の推測だけど」
ブラックゴールドソーは近くにある椅子の片方に腰かけ、もう片方をデッドマスターに差し出し、一呼吸おいてから続けた。
「それは奴とて同じであった。私との闘いに破れ、異次元間の海を瀕死の状態で彷徨っていた時に偶然、何らかの形であの女に出会ったのだろう」
「しかし、あの女とブラックロックシューターは別々に存在していたぞ?」
「融合する事で確かに力を回復し傷を癒やした。恐らく奴は後に自ら乖離を起こして、人間を元の世界へ帰したんだわ。小娘の異次元世界での記憶を消した上でね」
「馬鹿な! みすみす力を失ったと言うのか?」
「人間に『助けられ』て情でも移ったんじゃないかしら? 最も、この世界でそのような愚行を犯すのは奴くらいのものよ」
「だからブラックロックシューターはあの女を、引いては人間を守ろうとするのか……フンッ、下らぬ!」
デッドマスターが吐き捨てるように叫んだ。
「だかこそ、付け入る隙があるの」
赤い瞳が不敵な笑みを浮かべた。
「そのあとで、マトと言う小娘がこの世界に迷い込んだのも、ブラックロックシューターがその女を助けに来たのも、決して偶然ではないと思うわ。一度融合してしまった奴らは引きつけ合う存在になったのよ。それに」
「それに?」
「ブラックロックシューターの奴、今度は小娘の記憶を消してないみたいね」
「どうしてそのような事が分かる?」
「そうよね、ストレングス?」
「……うん、そうだよ。二人は未だ心で通じ合ってる。世界を超えて」
ストレングスが俯きながら答えた。
「だとしら、どうして隙があるのだ?」
意外と理解の遅かったデッドマスターにやや呆れながら、ブラックゴールドソーは答えた。
「貴方も鈍いわねえ。あの小娘が現れれば、そこに憎き蒼い炎も必ず現れるってことよ」
デッドマスターの顔色が、変わっていく。
「そう。小娘をおとりにしてブラックロックシューターをおびき出し」
「そこを討ち取る!」
身を乗り出しながらデッドマスターが語気を強めて言った。
「勿論、小娘ごとね。そしてマトという女はごく近い将来、この世界に再び現れるわ」
「根拠があるのか?」
「そうよね、ストレングス?」
先ほどと同じ調子でブラックゴールドソーはストレングスに振った。
少し間が空いて、
「え、あ、うん……」
ストレングスが少し慌てながら返事をした。
あまりの間の悪さに懐疑の眼差しで緑の瞳は、外骨格で構成された機械の腕の少女を見つめた。
「もう、ちゃんと自信を持って答えて頂戴。デッドマスターさんが疑うでしょ?」
「ごめん。ブラックゴールドソーの言う通り、マトはまた必ずこっちに来るよ」
ストレングスは深く暗い異次元の海を、部屋の窓から眺めながら言った。
ごめんね、マト……
そして……
「今日もナイスシュート決まったね。マトの活躍で今日も大勝利だよ!」
試合終了直後、ユウが駆け寄りながら女子バスケ部のエースの活躍を称えた。
「いやー、照れちゃうなあ。ユウの出してくれた的確なアドバイスのおかげだよ」
マトは、優秀なマネージャーの助言に対して感謝の言葉を口にした。
今日はマト達の通う中学校の体育館で、近隣の中学校との対抗試合が開催された。マト達のチームは見事快勝。マトはチームの得点の半分を挙げ、まさにエースとして勝利の立役者となった。
マトが試合会場であった体育館のアリーナで勝利の余韻に浸っていると、一階の応援席方から声がした
「マト〜! おめでとう! とても素敵だったわ」
大人びた雰囲気の美少女が、エースに向かって声をかけた。今日の試合にはヨミも応援に駆けつけていたのだ。
「ヨミ! 応援しに来てくれてたの?」
エースは汗を拭いながら、上の席にいるヨミの声援に答えた。
「ええ。大差が付いた後半は安心して観ていられたわ」
「えへへ。練習頑張ったし。あ、もう帰るからヨミも一緒に帰ろ? ちょっと待ってて。すぐ着替えてくるから」
「ゆっくりで良いわよ? 入口の所で待っているから」
「うん!」
試合後の疲れを感じさせない飛び切りの笑顔で返事をしたマトは、試合会場を出て即座に更衣室へと向かった。
マトとヨミ、ユウの三人は今日の試合を振り返りつつ、最近のドラマや流行りのアイドルの話をしながら家路に着いた。終止、笑顔が絶えない会話であったが何処となく浮かない表情をしているユウに、マトとヨミは気付かなかった。
「また明日ね、バイバイ」
帰る途中の交差点で、ヨミは右へ、マトとユウは左へ曲がった。それから少し歩いたところで不意にユウがマトに話しかけた。
「ねえ、マト」
「何?」
本日はココまでですが、続きも近々うpする……かも?(どっち







